俺の母親は姉だった。ニューヨークのブルックリンにあるヴァンパイア・バー、怪物園(ボルヘス・ハウス)で、対面のインタビュアーに向ける男の言葉はそんなものから始まった。第二次大戦以降、世界中のあらゆる紛争地帯に現れて、暴虐の限りを尽くす白貌のSS将校。戦場の吸血鬼。彷徨えるハーケンクロイツ。それは陳腐なオカルトめいた伝説(ミーム)として時に噂されるものだったが、単なるありきたりな与太話ではない。彼こそがヴィルヘルム・エーレンブルグ。世界の敵として、国連が極秘に追い続けている第三帝国の残党。聖槍十三騎士団という ...